浮世絵木版画摺師       長尾 雄司
昭和38年生  元浅草3丁目在住
浮世絵木版画摺師 長尾雄司さん
 主に浮世絵の中でも、美人画を得意とする、木版画摺師3代目の雄司さん。高校を卒業後、忙しい父を手伝おうと、この道に入りました。
「木版画の作業工程は、「彫り」と「摺り」に分けられます。父を見ていたので、自然と「摺り」の仕事を選びました。でも最初の2年間は全く摺らせてもらえず、父は弟子には教えても、自分には『見て覚えろ、自分で研究しろ』といった感じでした。『教えてもらうと、自分以上にはうまくなれない』と、やはり1代目の祖父も、父にはあえて教えていなかったようです。」
 版は色の数だけありますが、まず薄墨の輪郭線、そして色の面積が小さいもの、淡い色から、順に摺っていきます。湿らせた紙を、版の「かぎ」「ひきつけ」と呼ばれるしるしに合わせ、位置が狂わないよう、細心の注意を払います。バレンで摺る時は、特に細い線と大きな面積のものが混在していると、より繊細な力加減が要求されます。
「ひとつの作品が完成するのに、十色前後の色を使います。何色も重ねていくうちに、失敗はできない、というプレッシャーが大きくなってきます。美人画でいえば、最後に入れる艶墨(髪の毛の部分)は緊張しますね。一度に同じ絵を200枚摺るため、集中力を保つのが大変です。でも辞めたいと思ったことはないですよ。いつも最後の仕上りを想像しながら摺っていますが、特に最後の色を入れ、版から紙をはがす瞬間は、心が解放されますね。」
 父、直太郎さんのように、動きに無駄がなく、「板についた」摺師になりたいと、親子で仕上げた作品の数々を前に、笑顔で語ってくれました。



摺っているところ 傍らに作品があります
 バレンを使って、摺っているところです。
 手早くも、力強く摺っている感じが伝わってきました。
摺り上がった作品が、傍らに置いてあります。
細かい線まで、ずれることなく、きれいに出ていました。。